キャンドル作りの材料として使われることが多くなったミツロウ(蜜蝋)。
ミツロウってきいたことあるけど、ハチミツとは違うの?と思ってしまう方へ
色や形がなぜちがうのか、キャンドル作りの材料としてのミツロウを解説します。
もくじ
キャンドルに使われるミツロウ(蜜蝋)って何?
ひとことでいうと、「ミツバチの巣」そのもの。
ミツロウはミツバチがハチミツを体内に入れて
お腹の蝋腺(ろうせん)という器官から分泌する天然のワックスです。
ミツバチのおなかの部分には蝋腺(ろうせん)というロウをだす器官があります。節のようなところで4対8箇所あります。ここから透明で薄いウロコ状のミツロウのかけらを出します。
このかけらを大あごから分泌する酵素と混ぜて、形を整えて六角形の部屋を作ります。
これがミツバチの巣、ミツロウです。
キャンドル作りで使われる一般的なワックスは石油由来のパラフィンワックスです。lパラフィンは工場で大量生産が可能なため、安価で販売されています
一方ミツロウは工場で生産することができません。
みつばちが花の蜜を集めるところからはじまります。
集めた蜜に体内の酵素を混ぜ、巣房に貯めた蜜の水分を飛ばして糖度の高いハチミツを作ります。そのハチミツを元に体内からミツロウを分泌するので、たくさんは作れません。
1匹のみつばちが一生のうちに作るハチミツは
ティースプーン1杯くらい(約5g)といわれています。
レンゲのはちみつの場合スプーン一杯のために延べ1000km飛び、1万4000個の花を訪れます。
ティースプーン1杯のはちみつからできるミツロウは約十分の一、0.5gくらいです。
ミツロウシート1枚は約17gなので、
1枚のミツロウシートには34匹のミツバチが一生をかけて集めたはちみつが使われている
ことになります。
とても貴重なものです。
参考図書:蜂から見た花の世界 佐々木正巳/aromatopia アピセラピーとミツバチの世界
キャンドル材料としてのミツロウ(蜜蝋)の種類と価格
蜜蝋キャンドルは黄いろっぽい色とハチミツのような甘い香りが特徴です。
粘性があるので、細かい造形に向いています。
お花のキャンドルで花びらを1枚1枚作ったりするのに使うこともあります。
ミツロウは様々な形や色のものが販売されています。
その違いは大きくいうと下の3点です。
- ミツバチの種類のちがい
- ミツロウの色のちがい
- ミツロウの形のちがい
ミツバチの種類によるミツロウのちがい
日本にいるミツバチは大きく2種類いて、ニホンミツバチと西洋ミツバチです。
市販されているミツロウは99%以上、西洋ミツバチのものです。
伊丹昆虫館2017年6月の展示より
ニホンミツバチは日本に昔からいる野生の蜂です。
飼育には向かずハチミツの生産量も少ないので、養蜂業として営んでいる方のほとんどは西洋ミツバチを扱っています。
趣味の養蜂でニホンミツバチを飼っている方は近年増えてきました。
日本ミツバチのミツロウはとれる量が非常に少ないこともあり、ほとんど市販されていません。ニホンミツバチ愛好家の間で取引されることがある程度です。
西洋ミツバチは明治以降の近代養蜂で日本にやってきました。
管理しやすく、蜂蜜やミツロウの生産量も多いので、市販のハチミツやミツロウのほとんどは西洋ミツバチのものです。
ミツロウの色のちがい
ミツロウというと黄色っぽい色を思い浮かべる方が多いかと思いますが、分泌されたばかりの時は、透明です。
そしてできたての巣は白いです。
花粉が混じってくると黄色っぽくなります。
黄色の色合いも花の種類や花粉の量で変わってきます。
長年使っている巣はヤニや樹液なども混じって茶色っぽくなってきます。
巣をとるタイミングととったあとの保管期間や状態によってもミツロウの質や香りが変わってきます。
作りたてでまだ使っていない状態のムダ巣と蜂蜜のフタの部分が混じり気がなくてきれいです。
採ったあとに雨ざらしにしたり、長期間放置されたものはミツロウの質が悪くなります。
花粉が混じっていても、機械精製して除去した晒蜜蝋(サラシミツロウ)は白くなります。
食品や薬品、化粧品に使われるミツロウはこういった精製度の高いミツロウです。
分子蒸溜して脱臭もしています。
ミクロフィルターで花粉や異物を除去して、成分分析もしています。
一般的には晒蜜蝋の方が価格は高いです。
アレルギーについて心配される方がいらっしゃいますが、化粧品成分としてミツロウはアレルギーは起きにくいもののようです。
(参照:化粧品成分オンライン)
ミツロウに不純物が混じっている場合は、それらにアレルギー的症状の原因があるのかもしれません。
キャンドル作りの材料としては、花粉の黄色っぽさとほんのりハチミツの香りが残ったミツロウが好まれます。
茶色いものはキャンドルにしても、芯がつまってうまく使えないことがあるので要注意です。
ミツロウ(蜜蝋)の形のちがいと特徴
固形のミツロウ
大量に使う場合は固形の固まりのものが割安です。養蜂家さんが直接販売していることが多いです。
色や香りが強いことが多いです。
精製が足りず、不純物が混じっている場合があります。
ゴミやホコリが混じった蜜蝋でキャンドルを作ると芯が詰まってうまく燃焼せず、途中で炎が小さくなってしまいます。
継続して安定した品質のものを選ぶのが難しいです。
粒状ペレットのミツロウ
粒状ペレットのミツロウは固形のものと比べると割高ですが、少量ずつ使えるので便利です。
未精製の黄色っぽいものも、白い晒ミツロウもどちらも売っています。
用途に合わせて選びましょう。
香りについては商品によって異なります。
シート状の蜜蝋、ミツロウシート
ナチュラルな黄色と白以外にも、キャンドルクラフト用に着色したカラフルなミツロウシートがあります。
熱源を使わないので、やけどや溶けたロウの掃除の心配もありません。
巣箱の枠にセットして、ミツバチの巣作りの補助をする目的のものです。
パラフィンやステアリン酸などが混ざっているものがあります。
akarizmのミツロウシートはカナダ産のミツロウ100%です。
キャンドルクラフト用に作られているので扱いやすく、高品質なミツロウを使っているので香りもよいのが特徴です。
他社のミツロウシートの臭いが気になる方にも満足していただいています。
ミツロウ(蜜蝋)と温度
ミツロウを溶かしてキャンドル作りに使う場合の参考にしてください。
融点は62-64℃
85℃を越えると変色するので、高温で加熱しないこと。
また、205℃で引火するので直火にはかけずに湯煎で作業します。
IHコンロを使ってホーロービーカーなどで溶かす場合も途中で目を離さないようにしましょう。
日光やランプの紫外線で退色するので、涼しくて暗い場所に保管してくださいね。
キャンドル以外のミツロウ(蜜蝋)の使いみち
ミツロウはキャンドルの材料以外にも、暮らしの中の身近なものに使われています。
保湿力に優れているため、リップやハンドクリームなど化粧品にはとてもよく利用されています。
お菓子や薬にも使われています。
蜂蜜専門店でははちみつがぎっしり詰まった巣を売っています。
「コムハニー」とか「巣みつ」という名前がついていますが、その名の通り巣ごとハチミツを食べることができます。
香りもよく栄養価が高いということで健康食品として人気があるようです。
ミツロウ自体に味はありません。
型にミツロウを塗って焼くカヌレや、チョコレートや飴のコーティングなどにも使います。
薬のカプセルや錠剤の糖衣の部分にも晒ミツロウが使われているので、成分表を眺めて探してみてください。
そのほか身近なところでは
・革の靴やカバンの艶出しクリーム
・手作り化粧品木工製品やフローリングのワックス
・クレヨンや粘土
など、こどもが間違って口にしても安心な材料として重宝されています。
また最近ではハンドメイド材料として
・キャンドル
・ワックスペーパー
・ミツロウラップ
・手作り化粧品
・アロマワックスバー、アロマワックスサシェ
などにも利用されています。
キャンドル材料のミツロウ(蜜蝋)シートを販売しています
akarizmではミツロウキャンドル作りの材料、ミツロウシートを1枚300円で販売しています。
くるくる巻くだけでミツロウキャンドルが作れるので、是非一度おためしください。
ウェブショップ http://akarizm.shop-pro.jp/